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医療・福祉

特別養護老人ホームヴァンサンクボヌール

2017

ヴァンサンクボヌールは、建築主にとって2棟目の特養である。ボヌールは「幸せ」を意味するフランス語で、職員の公募により決定された。
敷地は長居公園東通りに面し、矢田教育の森を望む恵まれたロケーションである。三方道路に向かって共同室や居室を配置して、十分な採光や通風を確保するとともに、近接する福祉施設に面する西側はコア廻りを配置して双方のプライバシーに配慮している。廊下のない合理的なプランは意外に多彩な居場所があり、柔らかなトーンの内装計画と公園の緑や生駒山の眺望により上質な生活空間が実現した。1階は北側エントランスに続く地域交流室をカフェサロンとして、地域に開かれた交流の場となるよう開放している。
2014年の建築基準法改正による「地階床面積容積不算入」の特例を採用し、バックルームなど諸室を地下に設けることで、10ユニット95名の計画が実現できた事例である。介護事業を末永く運営するためには、適正なコストで最大の規模を確保することも大切な要素である。その上で入居者、職員、法人に寄り添い、地域に貢献する福祉施設を丁寧に設計することを心掛けている。

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