BLOG

心のこもった医療・・・それぞれの目線を大切に・・・

2008年07月15日(火)

200715sumiyosigawaS病院の増築計画コンセプト。
◆患者の心と身体が明るく元気になる環境。
◆医療スタッフの作業性と快適性の向上。
◆街並みに調和した気品と潤いのあるデザイン。
◆地球環境保全に配慮したサスティナブルな建物。
◆長期的な視点にたったコスト削減。

患者にも家族にも、医師や看護士を始めとする医療スタッフにも、地域にも、地球環境にもよくて、さらにコストパフォーマンスにも優れている。
「三方よし!」という近江商人の言葉があるが、一方に偏ることなく皆さんから「よし!」といってもらえる建物の設計をすることが私達の使命だと思う。ハード(建築)とソフト(運営)がバランスよく成立し、「よりよい医療」を実現するために・・・。
患者や家族の目線、医療者の目線、地域の人々の目線・・・それぞれの立場にたって、気づき、想像し、感じ、創造する。そのための努力を惜しんではならない。

S病院は単体の増築計画から、中長期的な視点を持つ全体計画へと移行した。
「地域に根ざし心のこもった医療」の実現に向かって、縁の下の力持ちになることをめざしたい。


「戯れ」・・・茶会・・・

2008年07月06日(日)

200707iida-kinen「気楽にどうぞ!」というありがたいお誘いに茶道とは縁遠い老壮男女6名が「いざゆかん!」
竣工後1年、緑が綺麗な「揖保川の家」へ・・・

心づくしの懐石料理の後、・・・お濃茶を!
本来はにじり口から席入りするのですが・・・足の悪い人も居るので省略。

200707iidea-toko床の間には釣花が涼しげに活けられ、「瀧」の文字は潔く勢いがあり、暑さに負けずのびやかに夏を過ごしていけそうな力強いメッセージを感じます。
お点前の間は静かだった席中も順々にお濃茶をいただく頃にはかなりにぎやか・・・ご亭主も終始笑顔!
お濃茶は飲みやすいようにやや薄めでした・・・さりげない心遣いですね!
続いてお薄を一服・・・かわいい「うちわ」のお菓子に小さな歓声・・・

200707iida-okasi涼しげなガラスの水差しからお釜にたっぷりお水が注がれて、熱すぎない薄茶が点てられました。皆さんいつのまにか足をくずしてすっかり寛いだ気分に・・・。
「今日の茶会を記念して、この茶杓に銘をつけたいのですが」
・・・そんな楽しい趣向もあるんですねぇ・・・
「七福神の茶杓」に出会い、元気に幸せになれそうな気がしたお話。
姫路市広畑在住の作者長谷川隆さんについてのお話。
200707iida-tyasyaku「たわむれ」はどうでしょうか?・・・一同大きくうなづいて、ご銘は「戯れ」に!

「揖保川の家」のお茶室はこれからも、ご亭主宏子さんの心づくしのおもてなしで幸せの輪をひろげていくことでしょう。

「設計者冥利につきる一日」に感慨深い私でした。


築120年 古民家改修できますか?

2008年06月21日(土)

Kさんは神戸市内のマンションにご夫婦でお住まいです。
「夫の実家は築120年でかなり痛んでいますが、別荘か、老後の住まいにできないかと考えています」と相談に来られました。

これまでの改修事例の写真を見ていただきながら、詳しいお話を伺いました。戦前からの古い民家はりっぱな柱や梁が使用されていて、震災に耐えてしっかりどっしり建っていることが多いのです。お話を伺った後、現地を見に行きました。思ったとおり太い黒光りした梁が歴史を感じさせる平屋の素敵な民家でした。改修はもちろん可能

実は・・・「知り合いの大工さんがいるのです」「古民家改修が得意だという工務店にも相談しました」とKさん(ちょっと心配顔)

大丈夫です・・私達設計事務所はKさんと一緒にプランをを考えて設計し工事監理はしますが、工事そのものはしません。工事をするのは大工さんや工務店さんです。ここで、設計事務所の仕事の進め方についてわかりやすく説明。Kさんの表情が急に明るくなる。

「知り合いの大工さんは良心的な人だけれど、色のセンスや水廻りの細かな設計が思い通りになるかどうか心配なんです。」
「工務店さんは自信たっぷりで提案してくれるけれど、どんな風に使うのかまだ迷いがあるのに急がされてる感じがして不安なんです。」
「私の夢を実現させるのに、誰に相談したらいいのか途方にくれていましたが、一緒に考えていただけるんですね!」

夢プラン作成!どんな暮らしを楽しみたいのか、一緒に夢プランを作りましょう!
まず、夢の第一歩としてKさんの希望を箇条書きにした要望書をまとめてもらい、その後、詳しい現地調査をしてプラン作成を行います。


キャノピー・・・青空とともに・・・

2008年05月31日(土)

200602高齢社会を実感する朝夕の送迎バス。
一昔前はかわいい幼稚園バスが目を引いたものだが、
近頃は高齢者のデイサービスやリハビリ送迎車が朝夕の街に溢れている。

大型ワゴンが寄り付けるだけの高さと広さ・・・

軒高を抑えた上品な和風のデザインを生かして・・・

構造体は木造で細くみせる工夫をした。逆勾配で大型ワゴン車でも十分な高さを確保した。
樹種は厳しい予算の中でピーラー(松)を使用し(工務店&材木店さんの好意に感謝!)
強化ガラスで空が見えるようにした。空の見えるキャノピーは明るく開放的で気持ちがいい。


ベッドサイドに陽の光

2008年04月26日(土)

grp0426230416先日オープンした療養通所介護施設のデイルームは、障がい者の方々が入浴や食事のケアを受けながら、半日を過ごすためのもので、ベッドの上の時間を少しでも快適に過ごせるように工夫が必要だった。天井照明は目に優しく心が和む障子を入れた。
ベッドサイドには小さくてもいいから窓がほしい!
景色が見えて、太陽の温もりがあって、季節を感じる窓がほしいと思った。

もし、自分がその立場だったら・・・私達はいつも相手の立場でイマジネーションを膨らませる。そしてそれを大切にしながらプランニングする。経験は想像と創造の源泉となる。

ベッドサイドには陽の光を・・・という強い想いは、以前私自身が入院した経験から来るものだ。毎日あきることなく窓から外の景色を見て過ごした。
空の色や雲の形をあんなに眺めたのは人生で初めての経験だった。
自然には人の心を癒してくれる大きな力が確かにある!と思った。

西側の壁沿いに4つのベッドが並ぶデイルーム。
夏の西陽は避けたいけれど、やっぱり窓をつくろう!
ベッドサイドの壁面を雁行させて南向きの小さな窓を作った。