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透ける格子戸

2007年11月29日(木)

kousido二種類の寸法の縦桟と横桟がモダンな印象の天井まである格子戸。
カバ桜、ピーラー、シオジなど素材を変えていくつかチャレンジしたが、それぞれに味わいのある透けた空間ができあがった。
この建具のミソは縦桟と横桟がガラスを挟んで向こう側とこちら側にあるからとっても掃除がしやすい!ということだ。

アイデアの源泉は伝統文化とモダニズムの融合を試みた建築家、堀口捨巳氏である。実用を兼ね備えた粋なはからい。その智恵を少々拝借してアレンジした建具を私は好んで使っている。


想い出の飾り棚

2007年11月11日(日)

kazaridana改築して2世帯で暮らすことになったO邸。静かに取り壊し作業を見守るおばあさんの姿に、亡きご主人との想い出の数々が思われて、「古い家の想い出を新しい家に残したい!」と考えずにいられなかった。
階段の段板は手触りのいいの無垢材だ。どこに使うかは私の宿題になった。

上棟式が終わり、間柱が入った頃、「玄関の間柱の間の空間に飾り棚を創りましょう!」とスケッチを描いて持っていった。「難しいなぁ・・・」と左官屋さん。「この板を使いたいんです」と黒ずんだ段板を見せた。「削ったらいいもんになるなぁ」と棟梁さんから助け舟。「よっしゃやってみよか」・・・こんなやりとりを経て完成した飾り棚は、ご主人に代わって、毎日買い物に出かけるおばあさんを見送り出迎えた。おばあさんは時々季節の花を摘んで飾っていた。

近頃 塗壁の家が少なくなった。それに伴って腕の良い左官屋さんも減っている。この家は中も外も全面塗壁で、左官屋さんのチャレンジ精神を刺激したようだ。悩みながら下地をつくり、細心の注意を払いながら仕上ていく。その光景を見ながら、「仕事が人を育てる」ということを実感した。

今日、久しぶりにO邸を訪れ野の花が活けられた飾り棚を見ながら、おばあさんの穏やかな笑顔が浮かんできた。