2024年05月15日(水)
以前より社内で行っている勉強会にて風環境のシミュレーションを行ったのでこの場を借りて報告をしようと思います。
今回は窓を開けたとき風が建物内部をどのように抜けていくかを考えました。
風環境のシミュレーションを行う前段として、まずは換気に適した時期の敷地の風を調べます。手始めに敷地の気温、風といった環境条件を気象庁が公開しているデータから確認し、
各時期の標準的な気温から快適な気温(21℃-25℃)の日時をマッピングします。
こうしてみると6月と9月は一日を通して快適な気温が分布しており換気に適した時期のようです。次に風配図をみてその月の風向き、風速をみていきます。
6月は西南西、9月は北東の風が最も多いようですが、敷地の条件から今回は6月の風について考えていきます。
対象となる風環境がわかったのでここからは建物のモデルにて
2.3Fの吹抜けのある共用部について風のシミュレーションを行います。
基本計画の中で作成していたBIMモデルでは解析にかけるには複雑すぎるため、ここから共用部のみを簡易モデルで抜き出します。
ここから共用部の開口の違いごとの風の変化をgrasshopperというプログラミングツールでシミュレーションした結果が次のようになります。
細かい説明は省きますが、同じ計画であっても流入口と排出口の有無によって風の抜け方は大きく変わることが分かります。
今回は開口の有無(窓の開け閉め)による風環境の違いを見ましたが、
この結果を用いてより風の抜けるように平面計画を変更していければと思います。
住まい手、法規、地域、構造、外観といった多く要因によって建築の形態は決定されていきますが、さらに風環境という新しい軸も扱えるようになってきました。
見える世界の被膜がまた一枚めくれたようで、これからがとても楽しみでなりません。
設計事務所の毎日
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春日亀裕康