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落葉の季節

2008年11月06日(木)

秋も深まり木々が色づいてきました。

立派に育ったアトリエのケヤキ・・・昨夜の風で落葉がいっぱい・・・。
早速竹箒を手に落葉掃きをしました。
10分もすると身体がポカポカ温まって気持ちがいい!

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近頃、落葉を「ごみ」だと言って嫌がる人がいて
役所の窓口に「落ち葉を何とかせよ!」と苦情が寄せられるそうです。
バシバシッと無残に切られて痛々しい街路樹・・・落葉はゴミではありません!

以前、六甲山麓の住宅地に住んでいた頃の話

「落葉掃きに参加しませんか」とご近所の奥さんに誘われて
生後4ヶ月の長男をヘベビーカーに乗せて坂道にでると、
子ども連れのお母さん達が集まって、楽しそうに落葉掃きをしていました。
あっという間に落葉の大きな山ができると子ども達の大歓声!
世話役らしき奥さんがバケツに水を汲んできて、焼き芋が始まりました。
「毎年恒例の焼き芋パーティー」
落葉の焼き芋はホクホクと美味しくて、
ご近所さんとのおしゃべりはとても楽しくて、
新米ママだった私は、コミニティの仲間入りができた気がして嬉しかったものです。

・・・落葉は季節が運んできてくれる自然の贈り物・・・
忙しい時間を少しだけ止めて落葉の季節を感じてみましょう!
・・・きっと心が豊かになりますよ・・・


私達の増築・改修の作法・・・・・宮内庁京都事務所の場合

2008年09月30日(火)

増築や改修では、歳月を生き抜いてきた建物が目の前にあり、その建物を創った人やそこで過ごした人々の想いが感じられる。

私達はそんな声に耳を澄まし、寄り添いながら、「よりよくつくる」ための方法を模索する。

京都御所はもともと天皇家のお住まいであり、京都御苑は広大なお庭である。宮内庁京都事務所はその庭の一画にある。京都御所等の管理を行い、皇室と皇室の活動について国民の理解を深める重要な施策を担うオフィスであり、日本の皇室の伝統に惹かれて訪れる国内外の人々のための参観受付の窓口がある。事務所内には貴賓室があり、天皇皇后両陛下をはじめ皇族の方々が年に数度はお見えになるのだという。

そのような場所性と様々な要望に応えるため、特に考えたのは以下の3点であった。

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◆既存建物のデザインを活かす。

◆寝殿造りの空間構成の手法を取り入れる。

◆御所の杜に調和する奥床しい清楚な建物とする。

伝統的な日本建築の手法である「透ける」空間構成は、高温多湿の土地に、やわらかな陽射しと爽やかな風を運んで、環境対策にも一役買ってくれそうだ。「先人の智恵に学ぶこと」「想いを大切にすること」それが私達の作法である。


「人」も「住まい」も愛情かけて・・・北畠の家

2008年09月08日(月)

200909kawa1築10年を迎えた北畠の家。

木造の離れでお友達と「学校ごっこ?」をしているのは
竣工の年に生まれたY美ちゃんとそのお友達。

「子どもがのびのびできる家に!」というご希望どおり
3人の子ども達はこの離れや中庭でのびのびと遊び、
愛情たっぷりのご夫妻のもとですくすくと成長した。

「住まい」も愛情がかかせない・・・10年目の健康診断を行った。
◆屋上の防水改修
◆離れの改修塗装
◆笠木と庇の防水改修
◆バスコニー手摺の塗装改修
そしてさらに
◆床フロアー改修・・・床暖房対応の無垢フローリングに張替(10年前には無かった)
◆和室を洋室に改修・・・パソコンルームとして、必要なコンセントや棚を整備

必要なメンテナンスをキチンと行うことで「住まい」は長生きする。
状況に合わせた改修を行うことで「住まい」は家族に幸せを運んでくれる。
建ててしまったら完成!ではない・・・そこからが始まりなのだ。

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屋上防水(改修前)10年経つと防水は劣化する。

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屋上防水(改修後)これで安心!

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離れの塗装(改修前)雨がかりの木部が黒ずんできた。

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離れの塗装(改修後)綺麗に化粧直し・・・

バスケットゴールの黄色に合わせて階段もグリーンにカラーチェンジした離れはとても新鮮!

技術的なメンテナンスだけでなく、精神的なメンテナンス(使い勝手の変更・内外装のイメージチェンジ)も合わせて行い、すっかりリフレッシュした北畠の家。施工担当は、当事若手、今は中堅となった匠工務店のTさん。

「クライアントと施工者と設計者のいい関係」・・・それは私達の大切な「kodawari」

いつも寡黙なご主人(お医者さん)が時折見せてくれるリラックスした笑顔と
センスのいい奥様との何気ないおしゃべりを楽しみに
これからもいい関係を続けていきたいと思う。
次の10年が来たら、Y美チャンは二十歳のお嬢さんだ。


心のこもった医療・・・それぞれの目線を大切に・・・

2008年07月15日(火)

200715sumiyosigawaS病院の増築計画コンセプト。
◆患者の心と身体が明るく元気になる環境。
◆医療スタッフの作業性と快適性の向上。
◆街並みに調和した気品と潤いのあるデザイン。
◆地球環境保全に配慮したサスティナブルな建物。
◆長期的な視点にたったコスト削減。

患者にも家族にも、医師や看護士を始めとする医療スタッフにも、地域にも、地球環境にもよくて、さらにコストパフォーマンスにも優れている。
「三方よし!」という近江商人の言葉があるが、一方に偏ることなく皆さんから「よし!」といってもらえる建物の設計をすることが私達の使命だと思う。ハード(建築)とソフト(運営)がバランスよく成立し、「よりよい医療」を実現するために・・・。
患者や家族の目線、医療者の目線、地域の人々の目線・・・それぞれの立場にたって、気づき、想像し、感じ、創造する。そのための努力を惜しんではならない。

S病院は単体の増築計画から、中長期的な視点を持つ全体計画へと移行した。
「地域に根ざし心のこもった医療」の実現に向かって、縁の下の力持ちになることをめざしたい。


「戯れ」・・・茶会・・・

2008年07月06日(日)

200707iida-kinen「気楽にどうぞ!」というありがたいお誘いに茶道とは縁遠い老壮男女6名が「いざゆかん!」
竣工後1年、緑が綺麗な「揖保川の家」へ・・・

心づくしの懐石料理の後、・・・お濃茶を!
本来はにじり口から席入りするのですが・・・足の悪い人も居るので省略。

200707iidea-toko床の間には釣花が涼しげに活けられ、「瀧」の文字は潔く勢いがあり、暑さに負けずのびやかに夏を過ごしていけそうな力強いメッセージを感じます。
お点前の間は静かだった席中も順々にお濃茶をいただく頃にはかなりにぎやか・・・ご亭主も終始笑顔!
お濃茶は飲みやすいようにやや薄めでした・・・さりげない心遣いですね!
続いてお薄を一服・・・かわいい「うちわ」のお菓子に小さな歓声・・・

200707iida-okasi涼しげなガラスの水差しからお釜にたっぷりお水が注がれて、熱すぎない薄茶が点てられました。皆さんいつのまにか足をくずしてすっかり寛いだ気分に・・・。
「今日の茶会を記念して、この茶杓に銘をつけたいのですが」
・・・そんな楽しい趣向もあるんですねぇ・・・
「七福神の茶杓」に出会い、元気に幸せになれそうな気がしたお話。
姫路市広畑在住の作者長谷川隆さんについてのお話。
200707iida-tyasyaku「たわむれ」はどうでしょうか?・・・一同大きくうなづいて、ご銘は「戯れ」に!

「揖保川の家」のお茶室はこれからも、ご亭主宏子さんの心づくしのおもてなしで幸せの輪をひろげていくことでしょう。

「設計者冥利につきる一日」に感慨深い私でした。